2015/08/26 00:09

こんにちは!

オーダーメイドレザーショップのHUMです!

今回はHUMで普段使用している革(栃木レザー)についてお話したいと思います。

写真の革は「半裁」といって牛の皮を半分に切り取った状態の物、
革の上に置いたiPhone6と比較して頂くとその大きさが想像頂けるかと思います。

皆様が普段お使いのウォレットや革小物を制作する際はこの大きな一枚革から、
必要なパーツ分を一つずつ大事に切り取って制作をしていきます。

一概に革といっても硬い革、柔らかい革、味が出る革、そうでない革など様々な種類が存在します。
しかし一般的な革製品は品質表示に「本牛革」としか表記されてい商品が多いのも事実です。
その為、「本革」か「合皮」か程度を確認し、後は触り心地や作品の雰囲気で決めてしまう方も多いのではないでしょうか?

「この革は味の出る革かどうか?」、「使っていくとどういった雰囲気になるのか?」

という部分だけは新品の状態の物を、見た目だけで判断するのは難しく、実際にHUMでもこの質問を受ける事は多いです。

そこで今回はHUMで使用している革についてより詳しく説明(少しマニアックな話)をしていこうと思います。

まず動物から採れた【皮】を【革】にする為に、鞣す(なめす)という工程を必ず行います。
この工程を行っている業者さんを革業界では“タンナー”と呼び、HUMで使用している革を鞣してくれている
栃木レザーさん日本を代表するタンナーさんの一つなのです。

革にとってはこの鞣す(なめす)という工程が非常に重要で、革の質はもちろん革の表情もこの鞣し方一つで全くの別物になります。

革を鞣すという工程は色々な方法があるのですが、

大きく分別して2種類あります。

【クローム鞣し】=鉱物から精製されるクローム化合物という化学薬品を使用

【タンニン鞣し】=植物等から抽出されたタンニン(シブ成分)の天然素材を使用

です。

実は一般的に世の中に出回っている【牛革】と書かれた革製品の多くは【クローム鞣し】の革です。
クローム鞣しの場合、化学薬品を用いる事で表面に新たな膜を張っているので水や傷などにも強く、
革の表面の仕上がりも綺麗で安定しています。雨風にさらされる可能性のあるバックや靴などに使う素材としては最適です。
そして最大のメリットは製造工程が短縮される分、一般的にリーズナブルな革が多いです。(但しピンからキリまで存在します。)

しかし表面に膜を張り、色を付けることで革本来の表情は隠れてしまい、艶は出ても革本来の味は出てきません。

一方、【タンニン鞣し】の革の場合は植物に含まれる渋み成分であるタンニンを抽出させた液と原皮を反応させ鞣されます。
さらにその鞣す方法が大きく分けて以下の2通り。

①【ドラム鞣し】
ドラム式洗濯機のような機械に原皮とタンニン液を入れ、回転させて比較的短時間で鞣す方法。
ただこの場合、革がグルグルと回転しながら鞣される為、繊維が伸びやすくなってしまい、
革のコシやハリが弱くなってしまう事があります。

②【ピット鞣し】
タンニン液の入ったピット(大きなプールの様な所)に皮を漬け込み、
徐々に植物タンニンを浸透させる製法で一枚の革を仕上げるのに1ヶ月〜1ヶ月半程かけてじっくりと鞣す方法。

タンニン鞣しの場合は化学薬品は使わず、天然素材にこだわって革が作られている為、革の状態によって染料の浸透具合が違い、
同じ色の革でも一枚ごとに色が若干違ったりします。
あえて自然の状態を生かした加工となり、動物が生きていた頃についた、キズ、シワ、シミなどが生きていた証として革にそのまま残されているのが特徴です。

HUMで使用している栃木レザーは、
【タンニン鞣し】&【ピット鞣し】で作られた革になります。

生産効率が悪く、コストは高い。それでも革本来の良さを味わって欲しいというタンナーさんの想いがたくさん詰まっている革です。
栃木レザーは使っていくうちにどんどん手に馴染み、天然ならではの艶や自分だけの味がどんどん出て来ます。

こうしてHUMで使用する主な革は栃木レザーを使用する事に決めました!

HUMではタンナーさんの思いを受け継ぎ、少しでも革らしい雰囲気を残すために、生きた証であるシワや傷も積極的に使っています。
(あまりにも目立つキズは避けてますが・・・)
商品を手に取る際は、そこに命があったことを感じて頂き、可愛がって頂ければ幸いです。

革の特徴などを理解してから革製品を使っていると、今までとはひと味もふた味も違って見えてくるので
以前よりもっと愛着が持てる様になると思いますよ!

革本来の雰囲気を味わいたい方、どんどん自分だけの味を出す事が出来る革製品が欲しいと思っている方。
是非オーダーお待ちしています。


HUM