2015/11/26 20:20

こんにちは!

オーダーメイドレザーショップのHUMです。


今回は革製品における「手縫い」と「ミシン縫い」の違いについて説明したいと思います。
縫い方の特徴を知っているだけでも、今後の革製品選びの参考にもなると思います。

またHUMの作品に関しましては全て手縫いて制作しておりますので、
手縫いの特徴を知っていただくと、今まで以上に愛着が持てる様になると思いますので、
興味のある方は、しばしお付き合い頂ければと思います。


まず、HUMで普段行っている手縫いの技法はサドルステッチ、クージュセリエなど様々な呼び方があるのですが、
元々は馬具を作る際に使われていた縫い方になります。

馬具はもし乗馬中に糸が切れてしまうと落馬などの事故にも繋がり、
命の危険性もある為、とにかく丈夫な縫い目を作る必要があります

かの有名なエルメスも元々は馬具メーカーとしてスタートしたブランドなので、
ケリーバックを初めとする高級カバンなどは未だに手縫いで縫われています。

比較対象に名前を出すだけでも恐れ多いのですが、
HUM作品は全てエルメスのケリーバックと同じように手縫いで制作しております...

このような話をしていると、

「じゃあミシン縫いは丈夫じゃないの?何かダメなの?」と思われてしまうかもしれませんね。

馬具の様に命の危険に関わる様な物で無い限りは、ミシン縫いでも十分な強度は保てます
日常でお使い頂く分には何も問題ないと思います。

実際に世の中に出回っている革製品の90%以上はミシンで縫われた物でしょうし...。

しかし、「革」VS「糸」では圧倒的に革の方が丈夫なので、
年月が立つと糸が切れたり、ほつれたりと必ず糸の方が先にダメになってしまいます。

その糸が切れたり、ほつれてしまうという部分に注目すると手縫いとミシン縫いに大きな差が現れるのです。

では実際に手縫いとミシン縫いの比較をしてみましょう。


まずミシン縫いの場合は図の様に、上糸が下糸を引っ掛ける様にして縫われています。
この為、もしどちらかの糸が切れてしまうと途端に周りの糸にも影響が出てしまうのです。
洋服の糸が切れてしまった時にどんどん糸がほつれてくる経験した事はないでしょうか?
まさにあれと一緒です。



手縫いの場合は上糸、下糸というのが無く、一本の糸だけで一つの穴を両側から交わる様に縫い進めます。
この為、万が一糸が切れてしまっても周りの糸への影響が少なく、被害を最小現に押さえる事が出来るのです。
また手縫い用の糸にはロウを刷り込んでから縫うため、糸が交わる際にロウが絡み付いてほどけにくくなっています。


人には色々な価値観や物の見方があると思いますので、

・革製品であってもピッカピッカの新品の物が好き。
・普通に使えれば何で縫われていようと関係ない。
・しばらく使ったらどうせ飽きてしまって新しい物が欲しくなる。
・革の経年変化の魅力が全くわからない・・。

という考え方をお持ちの方にとって、手縫いで縫われた革製品というのは、

””ただ値段が高いだけの物””

になってしまうと思います。

逆に・・・

・使えるのであれば10年、20年と長期間使用していきたい。
・革質の良さや、エイジングを味わいながら革を育てていきたい。
・革についてしまった傷やシミなどにも愛着を持つことが出来る。
・縫製の独特さや分厚い革などの雰囲気を楽しみたい。

という考え方をお持ちの方の場合は、手縫いの革製品にこだわる意味も
理解頂けたのではないでしょうか?

本当はこの後も見た目の違いなどについても書いていたのですが、
あまりにも長くなってしまいましたので、それはまた別に機会に!!


手帳型iPhoneケースのオーダーラッシュも落ち着いてきましたので、
今なら記載している納期より少しお早めにお届け出来そうです。

是非!オーダーお待ちしております。

HUM