2015/06/16 20:37

オーダーメイドレザーショップのHUMです!

今回は数回に分けて、オンラインショップでもオーダー受付中の、
手帳型iPhoneケースの制作工程を少し紹介したいと思います。


まず、革からケースを作るのに必要な分をざっくりと切り出します。

ただ切ると言っても、革には繊維が流れており、部位により繊維の流れる向きが違います。
繊維の方向によって、伸びにくい、曲げにくい等、部位ごとで違っているのです。

革を裁断する際はこの部分を意識するかしないかで、後に変なシワが出来たり、伸びてしまったり、
使用していくにつれてその差が出てきます。

工場などで量産するメーカーの場合、クッキーの型抜きのように機械を使って一気に裁断していきます。
この際、一回一回革の向きを繊維に合わせて方向を変えて抜いていれば、手裁ちと仕上がりは変わりませんが、
繊維はパッと見てすぐに方向を判断できるものでもないので、特に気にせずスパスパと革をくり抜いているのが想像できます。

HUMの小さな工房にはそんな便利な機械が置いてあるはずもないので、革の状態を見ながら一つ一つ丁寧に裁断しています。

 


革の裏側【床面】というのですが、床面はそのままの状態ですと毛羽立ってしまっているので、
専用のクリームを塗り、ガラスの板や木のブロックなどで磨きます。(写真:手前)

こうすることで毛羽立ちを抑えると同時に汚れ防止にもなり、仕上がりが綺麗になります。


床面を全て磨いたら、いよいよ本裁ちです。
1ミリでもズレると命取りとなってしまうので、呼吸を整えてから一つ一つ慎重に切り出します。



この革の裁断面を【コバ】といいます。

コバは切ったままの状態ですと、写真の様にザラザラとしており、見た目も触り心地も良くありません。
革製品の多くに見られるのは、コバ付近の革の厚みだけ薄くし、革を折り返して縫うという方法を使うのが、
簡単に見た目を美しく出来、一般的でもあります。
しかしこの方法ですと、長年使用していくにつれ、必ずといって良いほど薄くした革の部分が破けてしまいます。

長年大事に使って、せっかく革が良い表情になってきても、端が破けてしまっていては、
それは【味】とは言えず、ただの【ボロ】なのです・・・。

HUMでは【切り目本仕上げ】という技法を使ってコバを磨いていきます。
この方法は革を薄くせずに仕上げるので、革が破けてしまうという心配はありません。
また後から自分で何度も磨きなおせるので、常に綺麗な状態を保つことが出来ます。


革のパーツを張り合わせてしまうと、後からは磨きづらくなってしまう部分だけ先に磨いていきます。
写真の道具は【ヘリ落とし】といってコバの角を落とす道具です。
コバの角を落とすことでコバに丸みを持たせ、見た目も上品にする事が出来ます。


磨きの工程はあまりにも細かいのでここでは省略させていただきますが、
写真に映っている道具や、その他オリジナルの秘密道具を使って何度も何度も磨いていきます。


写真では少しわかりずらいですが、

写真上:磨く前
写真下:磨き後

実際、とても手間と時間がかかってしまう工程ではありますが、全てのコバに同じ工程を行っています。
この工程を行う事で見た目も触り心地もツルツルになります。

アフターケアとしてご自身で磨く際は、既に下処理は出来ておりますので、
革用のクリームを少し付け、柔らかい布などで磨くだけでも十分に綺麗さを保てます。

次回は、革を張り合わせる→手縫い→仕上げです。

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